■ひまわりの花■ |
ひまわりの花言葉 貴方を見つめる 貴方は素晴らしい 熱愛 愛慕 憧れ それは全部―――――― 「みんな!ちょっと来てくれよ」 嬉々とした顔で窓からスタンが宿の中にいるルーティ、フィリア、リオンを招く。 ルーティとフィリアは興味ありげに外に出て行き、リオンは単独行動は慎めと言っているだろうとぼやきながらも見張りのためだと二人の後を追った。 外は炎天下で暑いの一言では済まされないものがある。 全く関係はないはずなのに真っ青な空と白く大きな入道雲は暑さを際だたせるものとしか映らない。 陽炎が地面から立ち昇るのもまた目に暑い。 「やっぱり来なきゃ良かったわ」 「そういうなよ、すっごいんだからさ」 宿の中の涼しさを思い出したルーティがぼやいた言葉はスタンの言葉に消される。 「ところでスタンさん、なにが「すっごい」のですか?」 「それは着いてからのお楽しみ、ってやつだよ」 「くだらん。とっとと行って帰るぞ」 リオンもリオンでついてきたことに今更ながら後悔していた。しかし、ここまできたのだからなにが「すっごい」のか見る必要があると思った。むろんくだらなければ即座に電撃を浴びせてやろうと思っていたが。おそらくこの暑い中電撃攻撃は相当答えると踏んだ。なんならシャルティエに「もえさかるだいち」をつけてマグマにでもあててやろうかといつも以上に至極凶悪な考えが頭に浮かぶ。きっとそれも暑さのせいだろう。 もうとっくに滞在していた町をでていた。しかしスタンはなおも歩き続ける。 「ほんとにどこまでいくつもり?だいたいなんであんたはこういうところまでいくのよ!普通町から出たりはしないでしょ」 「どうでもいいじゃないか、そんなの。もうすぐだ……あ、ほら!」 スタンの指した先には、今まで平坦に続いてきた緑地と青空とに見事に映える黄色があった。 涼しいとは言いがたい風が吹くとそれも同時に黄色が揺れる。 しかし微弱な風では決して黄色の下の緑は揺れなかった。 そして地平線の彼方を黄色く彩っているような気すらした。 どこまで広がっているのだろうか。この、ひまわり畑は。背高く、太陽に向かって咲き誇るひまわりたちは。 「まあ……」 感嘆の声をあげたのはフィリアのみだったが、ルーティとリオンも瞳を丸くしているのがわかってスタンは満足そうに笑みを浮かべた。 近くまで寄ればそれは軽々とスタンの背丈を抜いているものが多い大きなものだった。 花なのに妙な迫力がある。夏場に生えていることも乗じてか屈強とでもいいたくなる雰囲気だった。 とてもでないが、よく花に使われる可憐だとか、たおやかだとかそんな表現はできない。 しかしそれでいて開けっぴろげなイメージがあり明るく天真爛漫とでもいいたくなるとうな雰囲気もある。 とにかくリオンが電撃のスイッチをいれないほど素晴らしいのだ。誰がこんなところに植えたのだろう。どのくらいかかったのだろう。 「……ほんとにあんたも良く見つけるわよね、こんなところ」 「……全くだ。単独行動は慎めと言っているだろうが。自分のおかれている状況をもっと考えろ」 ルーティの呆れ口調もリオンのいつもの嫌味もそれほど悪意はこめられていないようだった。 やはりそれには瞳を奪われてしまっていたから。 「そういえば、皆さん知ってらっしゃいます?」 しばらくそのひまわり畑を眺めているとフィリアがふと呟いた。 「何を?」 「ひまわりの、花言葉です」 全員が首を横に振った。リオンは少々興味なさげな顔をしていたが。 「花言葉と言ってもたくさんあるのですけれど、貴方を見つめる、貴方は素晴らしい、熱愛、愛慕、憧れ……こんな意味があるのだそうです。以前読んだ本に載ってまして……」 「ず、ずいぶんなんか恥ずかしげのある言葉だね」 「っていうか、過激よね。熱愛とか貴方を見つめるとか」 フィリアは軽く笑った。 たしかに言葉だけ聞けばずいぶんと過激な気もする。この天真爛漫さにはどこかそぐわない。と同時に、この花はやはりそんな激しさを兼ね揃えているような気もした。 フィリアは頷くと自分の信念を語るように話を繋げた。 「ええ、もちろんそんなイメージもおありでしょう。でも、ずいぶんと自分じゃなくて相手のことを思っていると思いませんか?思いやっていると、思いませんか?」 そう言われてみれば、という顔をルーティはした。 いくつか花言葉は聞いたことがあったがどちらかといえば自分に関することが多いのだ、花言葉は。 しかし、熱愛にしろ愛慕にしろ憧れにしろ相手がいなければどうしようもない。貴方を見つめる、貴方は素晴らしいは読んで字の通り、相手のことを思っている。 「しょせん自分のことで精一杯だというのに、ずいぶんと偽善的な言葉だな。なんの慰みにもならん」 リオンはくだらなさそうにそう呟いたが何かを求めているような感情がその中には込められていたようだった。少し痛切という余韻を残した。 「俺は偽善じゃないと思うぞ」 リオンの呟きを聞いたのかスタンがひまわりを見ながらそういう。 この中で一番ひまわりのイメージにあうのはスタンだときっと誰もが認めるだろう。頭髪が金ということもあるのだろうがそれ以前に雰囲気が酷似していた。 「これだけでっかくって堂々としててこの暑い炎天下にも負けてない。こんな強さがあるからこそやっぱり人を思えるんだよ」 「……お前が言うとさらに偽善に聞こえるのはなぜだろうな」 「あっ!なんだよ、それ!」 「なんだっていいじゃないのよ、偽善だろうが偽善じゃなかろうが。あたしはどっちかっていえば偽善派だけどま、そんなことがあっても悪くないんじゃない?」 「そんな!偽善じゃありませんわ!それに神は全ての人々に等しく……」 「あーはいはい!暑いからそろそろ帰りましょうよ!!」 ざわつくある夏の一日だった。 四人が去った後もひまわり畑はそこにずっとあった。……ずっと、強く。 ひまわりの花。 花言葉は貴方を見つめる、貴方は素晴らしい、熱愛、愛慕、憧れ…… それらは全て相手を思う言葉。 それぞれの胸に去来することはなんだったのだろうか。 fin |
暑中お見舞い申し上げますm(_ _)m すみません、わけわからないお話で…(汗 何がいいたいのやら…とにかくひまわりをみて 花言葉を聞いてなにかしら思うことがあったんです、皆。 なんか全然言葉にできませんでしたが。 (ちょっとリオンの描写があっただけで;) 半パラレルですみません。マリーさんいないです(汗 あと私の某作品とかぶっている気がしたり…(滝汗 謝ってばかりでダメですね!! 夏休み、お体に気をつけてお過ごしくださいませ〜>< |
カンシャのキモチ |
| ひまわりって、そんな花言葉だったんですねぇ。 ポインセチアの『私は燃えている』くらいしか知りませんなぁ(それもどうだ)。 やっぱりスタンはスタンだなぁ、と思いました。 思っていることを素直に表現するのもそうですけれど、 簡単に言葉に出来ないものも、心そのままに口に出来る。 『らしく』あるんですよね。 雰囲気そのままにお書きになる翡翠様は素晴らしい方ですね! |
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