。* ○ 温かいもの ○ * 。 ロスト・ユニバース



「はい、熱いから火傷しないでね」
「サンキュ」

手にしたカップ、受け取ったカップは、冷え切った体を温めるため。
彼のカップには、好みに合わせた熱いコーヒー。
彼女のカップには、熱めの紅茶。
名前入りのカップが並んで食器棚に入ったのは、いつのこと?
ソファにも向かい合ってじゃなくて、並んで座るようになったのは、いつのこと?
そんなことはとっくに忘れた。

「あー、ようやく生き返ったぁ」
「また大袈裟だな、お前も」
「だって、依頼でもなきゃ普通は入んないわよ。巨大冷凍庫の中なんてっ!」
「そんなんじゃ、立派な宇宙マグロの卸し人にはなれないぞ」
「ならないわよっ!!」
「まーなー、ここで出ていかれたら、途端に困るのは俺だしなー」

彼は、ずずずっと音を立ててコーヒーをすする。
『ふーん』とうなずきながら、彼女は両手でカップを包み込んだ。
そして一口飲んだあと。

「でも、あたしがいないだけで何で困るわけ?」
「だってさ、もう他の奴の作った飯は食えない体になってるしさ。しっかり餌付けされたわけだし」
「ちょっと待って、あたしは飯炊きだけのために転職を許されないわけ?」
「ばぁーか」

かするだけのキス。

「餌付けされたって言ったろ?」
「あのぉ、今のが餌付けなんですか?」
「納得しとけ……って、甘い」
「あたしの紅茶の中、蜂蜜垂らしたからね」
「俺の奴とは何気なく味を変えるなんて、やっぱり餌付けだ……」
「んもーっ、そんなつもりはないのっ!」

彼女は立ち上がると、空になった自分のカップ、そして彼のカップを取り上げる。

「蜂蜜入り紅茶、今度はケインにも作ってきてあげるね」






・ *.● 真っ白な世界 ● *・. ガオガイガー



記録的な大雪の降った次の日は、いかにも『遊びなさい』とばかりに快晴。
寒いのは嫌、でも雪に誘われて外に出る。

「雪うさぎ発見!」
「へっ?」

知った声に驚いて慌てて辺りを見渡せば、後ろを向いた途端に。
ペシャッと雪玉、顔面命中。

「……がぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃ?」

返事はない。

「私が笑っている間に出てこないと、次のメンテナンスでどうなるかわかってるんでしょうねぇぇぇぇぇ?」
「笑っている間って、目が笑ってないくせに」

草むらが揺れて現れたのは、赤い髪の青年。

「当たり前でしょっ!サイボーグの力がどれだけあると思ってるのよ」
「手加減はしたぜ、一応」
「君の手加減は当てにならないデス」
「ちゃんとしたって」

彼の伸ばした右手、その指先が彼女の前髪を掻き揚げる。
冷たい機械のはずが、触れる度に彼女に熱をもたせる。

「でも、これは痛かったな」
「そうだよ、幸い隠れ……」

わずかに赤くなっていた部分、彼はそこをぺろりと舐めた。
彼女は次の言葉を失って真っ赤になって、ひざから崩れ落ちかける。

「だ、大丈夫か?」
「大丈夫じゃないよぉ。今のは反則……」
「はいはい、それじゃあ責任もって、ちゃんと部屋まで送ってやるから」




カンシャのキモチ
『星海研究所』のほしみゆーきサマから頂いちゃいました!
・・・・うひひひひ(喜)。
ラブラブですよ!甘々ですよ!!
ほしみサマったら、私のツボを織っていらっしゃる。
あぁもう、ホントにありがとうございますっっ!!

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