「何て言った、今」
「聞こえなかったのかね?ならばもう一度言おう」


朧げな希望にすら縋ることも赦されない。


「銀時計を置いて、即刻出て行きたまえ。『エドワード・エルリック』」


この腕も足も、どうしてこんなに冷たく重い。



       いちどまえ    み   しゅんかん   かいまみ        そら  
もうえる




「兄さん早かったね。大佐、何だって?」
「クビだとよ」


懐から出した手帳を縦に引き裂いた。


「こちら中央司令部!」
「駄目です、繋がりません!!」
「西方司令部、壊滅状態との情報アリ!」
「同じく東方司令部もほぼ壊滅状態です!」
「北方と南方はどうなっている?!」
「それぞれに繋がる線路が全て爆破されています!」
「海路は?!」
「ストームの所為で船が出せません!!」
「ならば車があるだろう!馬でも足でも使って情報を集めろ!!」


混雑。混乱。混沌。
襲い掛かる災厄。


「くそっ、一体何が起こっている…ッ?!」


東西南北中央、孤立無援の出来上がり。


「兄さんが行かないなら、僕ひとりでも行く」
「勝手にしろ」
「勝手にする」


ひび割れる音が、響く。


「…アンタらしくない、全然」
「じゃあどうしろって言うんだよ!?」
「いつもみたいに大胆不敵に笑ってよ!諦めないでよ!全然平気じゃないくせに、気にするななんて言わないで!!」


流れるものは涙だけじゃ、ない。


「死ぬつもりですか」
「誰が死ぬと言った。私の野心はそんなにも安く見えるのか?」
「まさか」


願うのは、望むのは、ただ―――…。


「ごめんね、兄さん」
「アル!!」


手を伸ばしても尚、届かないその先に
―――…。


「よぉ、大佐。面白いカッコになってんじゃねぇか」
「ここは子どもの来る場所じゃない」
「ふぅん?俺、ガキだからムズカシイ言葉って分かんねぇの」


焦がれた想いを、強く、強く。


「莫迦だな」
「お互い様だろ」


弧を描く、白銀の光。


「これで君も晴れて軍の狗だ、『鋼の錬金術師』」
「…イイね、その重っ苦しいカンジ」


焔が巻き起こり、稲妻が走る。


『いってらっしゃい』


帰る場所がある。


『アルと一緒に帰ってきて。それまでコレ、預かっておくから』


待っていてくれるヒトが居る。


「背負ってやろうじゃねぇの
―――…!」


誓ったのは自分。
選んだのは自分。
振り返らない。
諦めない。

茨の道すら踏みしめて、突き進むと決めたその時に。


突き出した腕が鈍く、鋭く光を放った。




Comming soon.....


あとがき。
嘘です。
嘘予告です。
長編オリジナルなんぞ、私には書けません(爆)。



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