By.翡翠 嶺様
| 一番輝くこの時間。 2人で、見たいと思った。 不思議な事もあると俺は思う。 久しぶりに誰にも起こされないで起きられた、と思ったら まだ誰も起きていなくて、あたりはまだ薄暗かった。 「うわっ!やっぱり冷えるな…。」 夜のために着込んでいた防寒具を脱ぐと冬の朝の寒さが身に突き刺さった。 ひょっとしたら、この寒さで目覚めたのかもしれない。 でも、そんなことはどうでもいいや。 結局なんにもやることがなかった俺は貴重な体験として 朝の散歩に出ることにした。 朝の空気がこんなに気持ちいいって久しぶりに実感した。 …俺だって毎日起こされてばっかだけど、たまには… 本当にたまには自力で朝に起きられることもあるんだからな! それでも、まだ薄暗いうちに起きた記憶なんてここ数年分ない。 散歩っていっても、ここは森の中。そんなに深いところじゃないから歩けばすぐに草原に出るけど。 だから、ほんとに短い距離、それだけ歩いてとりあえずその草原に出た。 「う…わ…………。」 俺は目を丸くした。 だって目の前に何が広がってたと思う? ある意味、雪よりも感動かもしれない。 目の前に生えている草、全部に霜がついていたんだから。 完全な白…ってわけじゃないんだ。 なんていうのかな、透明感がある白? そんな色で一面覆われていたんだ。 俺は、小さい頃、よく似た光景をどこかで見た気がした。 本当に小さい頃なんだけど…いつごろかな。 まだ、母さんが生きてた頃だったかな…。 その頃からもう寝起きが悪かったんだけど、母さんに起こされて、それで見に来たんだ。 小さい小さいリリスも連れて。…たしかリリスは寝てたけど。 夜明け前の一面の霜の世界。 それが夜が明ける頃に…本当に一瞬、一分もないって言うその時間だけ、 光るんだ。 すごく…すごく、キレイに。 世界中の宝石を集めてきても叶わないんじゃないかってくらいキレイに。 その頃の記憶は、ほとんどないんだけどそれだけは今でもはっきり覚えてる。 眠気なんか一気に吹っ飛んだんだ。 まだ、夜は明けていない。 きっと、この位置にある草原なら太陽の光の関係もいいから綺麗に見えると思う。 俺は…この光景をふ、とルーティと見たいと思った。 本当に綺麗なあの瞬間を。 そう思い立った俺はここから帰ってルーティを起こし、戻ってくるまでに 太陽が昇らないこと祈って駆け出した。 「ルーティ…ルーティ!!」 ルーティのことだから…たぶん俺と違ってすぐに起きてくれると思う。 そのあとになんで起こすのよ…って怒られるかもしれないけど、 それよりも、あれを早く見せたい。 「…ん?なによ…?」 少し、不機嫌な声でルーティが起きてきた。 「まだお日様も昇ってないじゃない…ってなんであんたが起きてんのよ!?」 いや、俺が寝起き悪いのはわかってるつもりだけどさ、そこまで言われるとちょっと悲しいぞ…。 「そこまで言わなくてもいいだろ? あのさ、ちょっとそこまで付き合ってくれないか?すぐそこだからさ。」 「はぁ?何言って…。」 やばいな…もうすぐ日が昇っちゃうよ。 しかたないか…。 俺は、ルーティの手を引っ張ってあの場所へ向かった。 「な、ちょ…なんなのよ…?」 今は説明してる時間がないし、それに実際に見た方が良く分かると思う。 あの、感動は。 「着けばわかるよ。」 俺はひたすらにさっきの方向に歩みを進めた。 日出まで、あと数分ないと思うから…。 「ついたぁ…。」 「で、何…って…………。」 ルーティもとりあえず絶句したみたいだ。 目の前に広がってるこの霜に。 ただ、これだけじゃない。この後に、もっとすごい… 「まだ、だ。日が昇るまで…。」 「?」 少し、空が白んだ。 だんだん、草原が明るくなっていく…。 そして、そこから… 「え…?」 本当に、綺麗なんだ。 煌いてる霜が、 冷たく、鋭く、でもどこか優しく まるで地上の星のように輝く、自然が作り出したそれが。 なんだか、あの時見たのよりも綺麗に見えるのは、 君と見ているからなのかな。 すぐに、見えなくなっちゃうけど…一瞬の煌きがなによりも美しく見せる。 「どう…?」 「…キレイ…………。」 それ以上聞くのはやめた。 それだけでわかるから。 きっと満足してるってことも含めて。 本当に、キレイって言う言葉が何よりも似合うんだ。 ルーティと見れたのが一番嬉しかった。 fin |
またもや何書いてんだ自分です。 ただ、あのキラキラした霜が書きたくて…。 旅行先で見たとき本当に感動したんですよ。 だから、とりあえず本当にあったことです。 それにしてもルーティの出番が少ない… (しょせんルーティ馬鹿のいうことですから きにしないでくださいι) スタルーと銘打ってもいいのだろうかと 思ってしまいますね…。 私の性質上、甘い話があんまり書けないんです。 だから、ほのぼの〜っとしてるか、 もしくは切な系シリアスになっちゃいますね…。 まぁ、だからこれはスタルーということで…。 …適当な奴ですみませんm(_ _)m |
| カンシャのキモチ |
| わぁい! これまた頂いてしまいました! スタルー小説〜vv ゆっくりと、柔らかな雰囲気が好きですねvv 寒いと書いてあったので、何となく静かなイメージで、 こんな薄いレイアウトになってますが(笑)。 ありがとうございました! |
ブラウザの戻るでお戻りください