◆◇選択式お題・「エドウィン〜恋って難しい〜」◇◆


*月明かりの下で咲いた、小さな向日葵


「うわ、寒っ」
「そんなに寒くないでしょー」
「いいや、これは寒い部類に入る」
「冬生まれのくせして寒がりって何よぅ」
「関係ねぇっつの…何だよ」
「いつかもこんな風に星見たよね」
「そうだっけ?」
「そうよ、アルにフラれてふたりだけで」
「…今日は月が明るくて星見えねぇな」
「あ、誤魔化したー!」


ふわりと優しく微笑んだ、君の笑顔に鼓動が跳ねて。
花が開いたみたいに思えたんだ。
月明かりの下で咲いた、小さな向日葵。

*もどかしさが切なさに形を変えて、狂おしさが愛しさを求める


「なぁんでこんなに報われないんだろ」
「…いきなり背後から何ですか、ウィンリィさん」
「ずるいわ」
「は?」
「あたしばっかりエドが好きみたい」
「…ウィンリィ、ちょっとこっち来い」
「何よぅ」


呼ばれてぎゅっと抱き締められた。
言葉も行動も無いと、時々不安になってしまう。
もどかしさが切なさに形を変えて、狂おしさが愛しさを求める。

*似合わなくて言えずにいた、聞かれたくない言葉


「ん?」
「ウィンリィ?」
「何か言った?」
「言ってねぇけど」
「おっかしいなぁ、気のせいかなぁ」
「若いのに幻聴ですかー?」
「エドうるさい!」


思わず呟いたひとことを無かったことにしてしまおう。
スキ、好き、大好き。
似合わなくて言えずにいた、聞かれたくない言葉。

*ダンデリオンだと、君は笑うから


「あ、たんぽぽ」
「若葉は食べられるんだぞ」
「何そのサバイバル情報」
「ついでに根っこはソレな、たんぽぽコーヒー」
「あんまりおいしくないのよぅ、コレ」
「離乳まで諦めろ」
「まだ生まれても無いのに!」
「…花の色とか、綿毛のふわふわしてるのとか」
「うん?」
「何か、お前みてぇ」
「あたしは風に吹かれたくらいじゃ、飛んで行かないわよ?」


呆れた顔して笑わないで。
そうね、道の花も良いかもしれない。
ダンデリオンだと、君は笑うから。

*嘘をついた唇が、ひたすらに渇いてひび割れる


「エドの莫迦、豆、錬金術オタク!」
「煩ぇッ!この機械鎧オタク、仕事莫迦!!」
「何よ、もう良い!!大嫌い!!」
「嫌いで結構!!」
「2人とも嫌いだなんて思ってないくせに、素直じゃないなぁ」
「「アッ、アルフォンスッッ!!」」


そうよ嘘、嫌いなんて大嘘。
でも認めるのが悔しくて、でも言った台詞が苦しくて。
嘘をついた唇が、ひたすらに渇いてひび割れる。

*最初から君しかいない。そんな事、生まれた時から解ってた


「きっと、最初からなのね」
「あ?」
「エドが隣に居たのは最初から」
「…アルかもしれなかっただろ」
「無いわね、アルはあたしがエドを好きだって、あたしが気付く前から知ってたもの」


ずっと、君を譲る気なんて無かったよ。
最初から君しかいない。
そんな事、生まれた時から解ってた。

*メリッサを植えた その土の付着(つ)いた手で、君を汚す


「エド、手出して、手」
「げ?!」
「お・す・そ・わ・け」
「てめ、オレの手まで汚すことねぇだろ?!」
「エドだけ綺麗なのが何だか腹立たしかったのよ」
「何て自分勝手な言い分!」
「この苗ね、花言葉が思いやりって言うのよ」
「…お前はその言葉を理解しているのか」


あら、ばっちり理解してるわよ?
だから君にたっぷり擦り付けてあげる。
メリッサを植えた、その土の付着(つ)いた手で、君を汚す。

*幼馴染って、こんなだっけ?


「なぁ、ウィンリィ」
「うん?」
「オレら幼馴染だよなぁ」
「そうね」
「…ヘンなの」
「あんたがヘンよ」


はっきりしない、もやもやした感情。
何故だろう、忙しく動く君を追う。
幼馴染って、こんなだっけ?

*期待持たせるくらいなら、引導渡してくれた方が楽


「…ん」
「なぁ…?」
「え、ど」
「…んむッ?!」
「だめ、おあずけ、あーとーでッ」


離れた体温に虚しさの残る唇。
あの雰囲気でコレは無いだろ。
期待持たせるくらいなら、引導渡してくれた方が楽。

*嫌いって、好き よりもたくさん言ったはずなのに


「莫迦莫迦莫迦!だいっきらい!!」
「あー、はいはい」
「ほんとなんだからッ!!」
「分かった、分かった」
「う〜…」
「あと言いたいことは?」
「…………………………だいすき」


その顔で笑うのは卑怯よ。
お見通しって何だかずるいわ。
嫌いって、好き よりもたくさん言ったはずなのに。



お題は此方から

箱庭のお茶会



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