◆◇5title[雄叫び系]*5◇◆


大好きなんだよコンチクショウ!


「どしたの、エド。変な顔」
「…どうもしてない」
「んんー?」
「なっ、んだよ?!」
「心が読めたら良いのになぁ」


読まれて堪るか、これ以上。
言うに言えない台詞がもどかしい。
大好きなんだよコンチクショウ!

嫌いだって言いながらキスするな!


「まぁだ怒ってんのか、お前」
「怒ってないもん」
「ふくれっ面でよく言う」
「誰の所為よぅ!」
「はいはい、オレの所為ですよ」
「そうよ!エドの莫迦!大嫌い!!」
「な…ッ」


反論しようとして塞がれた。
言ってることとやってることが矛盾してるにも程がある。
嫌いだって言いながらキスするな!

お前それ可愛すぎだから!


「ほーら、起きて下さいな奥さん」
「起き、て…る…」
「起きてない起きてない」
「…眠たいのぉ」
「分かったから起きろ」
「分かって、ないぃぃ」
「駄々捏ねんな、ガキか」
「えど、ここ、ここ」
「あ?」
「いっしょに寝よ」


だからだな、オレはお前を起こしに来たんだよ。
早く行かないとばっちゃんの雷が落ちるんだ。
勘弁してくれ、お前それ可愛すぎだから!

嗚呼もう食っちまいてぇ!


「…兄さん、あのさぁ」
「…アルフォンス、みなまで言うな」
「うん、分かってはいるんだけどね?」
「分かってるなら尚更言うな言わないで下さいお願いします」
「あーあ、ウィンリィ可哀想」
「…オレだって可哀想だ」


風呂上りに隣で寝こけられて、身動き取れないこの状況。
石鹸の匂いだとか、柔らかい感触だとか、偶然見えてしまったラインだとか。
どこまでもつのかオレの理性、嗚呼もう食っちまいてぇ!

泣くくらいなら離すなよ!


「ッ!」
「…っと、ワリ」
「えっ、違、あっ」
「ウィンリィ?」
「やだぁ〜っっ!!」


怯えたように咄嗟に触れた手が離れる。
そっちから引いたのにやだって何だ。
えぇいっ、泣くくらいなら離すなよ!

なんでそこでその笑顔!それ反則!


「エドはさぁ」
「んあ?」
「あんまり好きとか言ってくれないよね」
「は!?」
「ぎゅーとかちゅーなら少しはしてくれるのに」
「少しは、って…」
「だって少しだもん」
「…言わなきゃ、分からねぇのかよ」
「ううん、これだけはね、分かる」


照れたようにはにかんで。
心臓鷲掴みにされた気分だ。
なんでそこでその笑顔!それ反則!

馬鹿すぎて愛しいよ!


「聞いて、アル!」
「ん?」
「エドったらね、夜は絶対部屋に入れてくれないのよ。特に寝る前」
「…そりゃ、まあ」
「何よぅ、アルもエドの味方なの?!」
「味方と言うか、何と言うか、同情と言うか」
「へ?」


通りかかって聞こえた会話。
少しで良いから察してくれよ。
ほんとに馬鹿すぎて愛しいよ!

無理!それ無理だから!


「ほらほら見て、エド」
「…オレがそれ見て可愛いと言うとでも思うのか、お前は」
「言ってよぅ」
「言えません」
「んじゃ、こっち向いて」
「向きません」
「ちょっとしか見てないのに、そんな感想?」
「直視出来るか莫迦!!」


言ってる傍からくっつくな。
分かっててやってるから性質が悪い。
無理!それ無理だから!

お前の膝は俺の枕!


「寝心地悪ぃ…」
「クッションか枕持ってくる?」
「んー」
「それとも、いっそソファじゃなくてベッドで寝てきたら?」
「ウィンリィ、こっち来い」
「何?」
「これで良い」


いつも予告無しにべたべたするくせに、何でここで固まるかな。
笑いそうになるのを必死に堪えて、慌てる君に気付かぬフリ。
お前の膝は俺の枕!

参った降参!言わないけど!


「負けた方が言うこと聞くのよ」
「何で勝負?」
「腕相撲!」
「…勝負にならん、他のにしろ」
「ハンデ付ければ良いじゃない」
「どんな?」
「両手使ってとか…あ、そうだ!」
「ん?」
「エドがちょっとでもあたしのこと可愛いって思ったら負けね」
「………腕相撲関係無ぇし」


何それ、絶対無理に決まってる。
負ける自信なら腐るほど。
参った降参!言わないけど!

信じらんねぇ!そういうこと言うかな!


「ウィンリィ、さっきオレの部屋に来なかった?」
「行ったわよ」
「どうかしたのか?」
「洗濯物回収。溜め込まないでってあれほど言ってるのに聞かないから」
「自分でやるって」
「まとめてやる方が効率良いの!」
「一緒に洗うのヤじゃねぇの?」
「あんたの汚れた下着くらい何てことないわ」


分かっちゃいるけど、もっとこう、他に言い様があるんじゃないのか。
気にしているのはこっちだけかよ!
信じらんねぇ!そういうこと言うかな!

手!出せ早く!


「エドワードさん」
「何でしょうかね、ウィンリィさん」
「台詞が棒読みー!」
「ほんとに何だ」
「今日は何の日?」
「あー…肉屋の特売日?」
「…………分かっていて言ってるならスパナ」
「嘘です冗談ですごめんなさいもうしません」


つーか気付いてんだろ、置き場所少し変わってたし。
忘れるワケ無い誕生日のプレゼント。
知ってるなら手!出せ早く!

解ったからもう黙れ!口ふさぐぞ!


「エドの意気地無し」
「う」
「根性無し」
「あー…」
「いっつも口ばっかりだし」
「…そ、れは、だなぁ」
「問答無用!エドの莫迦!ニブちん!下手くそ!!!」
「って、最後の何だ?!」


まさに絶好のチャンス、絵に描いたようなシチュエーション。
わざわざ言われなくても身に染みてる。
解ったからもう黙れ!口ふさぐぞ!

アホか!俺が泣くか!


「…コレ、なに」
「牛乳」
「…なんでここにあんの」
「あたしが置いたから」
「…罰ゲーム?」
「朝食には牛乳でしょ。さあ、ぐいっと!」
「行けるか!!」


嫌いだと知っていながら毎回毎回。
俯いてたら泣かなくてもと明るく言われた。
泣いたら負けだろ!アホか!俺が泣くか!

俺に甘えろよ!


「お願い、コレ開けて!」
「はいはい、貸して」
「えへへ、アル大好きv」
「………」
「兄さん、言いたいことあるなら言った方が良いよ」
「なっ、何も無ぇよ!!!」


意味ありげにこっち見て笑うな。
感情が顔に出るこの性格が忌々しい。
お前、そっちじゃなくて俺に甘えろよ!

それがどうしたドンと来い!


「ウィンリィ、そこに居たのか」
「…降りられない」
「はぁ?!」
「降ーりーらーれーなーいー!!」
「降りられないなら最初から木になんて登るな!」
「登りたかったんだもん!」
「あぁもう、受け止めてやるから飛び降りろ!」


怪我なんてさせないから腹括れ。
絶対重いとか、今更気にすることかっての。
それがどうしたドンと来い!

男も女も関係あるかよクソッタレ!


「………」
「…ばっちゃん、無言で訴えるの止めてくんない?」
「お前たちはどうしてそうなのかねえ」
「オレ悪くねぇもん」
「さて、喧嘩の内容なんて似たり寄ったりで覚えてないよ」
「ウィンリィの奴、ヒトの気も知らねぇで」
「心配なら心配だと言ってやらないからそうなるんだ」


莫迦、と出て行った後ろ姿。
引き留める甲斐性くらいオレだって欲しいよ。
男の癖にと思うかもしれないけれど、
男も女も関係あるよクソッタレ!

そこがいいって言ってるの!


「センス最悪、趣味最低」
「お前に言われたくねぇっての」
「何でアルと選ばなかったのよぅ!!」
「アルと選んだって意味ねぇだろ!!」
「…もう良いわ、エドらしいもの」
「悪かったな、趣味が悪くて」
「あら、女の趣味だけは最高だと思うけど?」
「…自分で言うな」


プレゼントは嬉しいけれど、これはちょっとどうなのよ。
気持ちだけでも嬉しいわ。
膨れないでよ、そこがいいって言ってるの!

泣いててもいいから胸を張れ!


「ウィンリィ」
「こっち、見ないで」
「うん」
「絶対だからね」
「分かった」
「でも、傍に居て」
「…あぁ」


年に一度、咎められない泣き顔に途方に暮れる。
でもな、それじゃ2人に心配させちゃうだろ。
俯くな、泣いててもいいから胸を張れ!

いい加減に気づけ!愛してるよ!


「愛が見えないわ、エド」
「いきなり何だ」
「どしたのウィンリィ?」
「だってだってだってぇ!!」
「な、何だよっ?」
「話しかけても素気ないし、くっ付いてもすぐ離れるし、強請ってもあんまりしてくれないし!!」
「…兄さん、お強請りされないとしないの?」
「誤解を受ける言い方するなお前ら!!!」


何話せば良いか迷うし、くっ付かれると恥ずかしいんだよ!
何で分からないかな!
いい加減に気づけ!愛してるよ!

うわっ本気で言ってるよ俺!


「へ?」
「だからさ、どっか行かね?」
「どっかって、夕飯の買い物とか?昨日買い貯めしちゃったわよ」
「そうじゃなくて!」
「散歩?」
「いや、旅行、とか」
「…エド、熱でもあるの?」
「何でだよッ!!」


たまにはそういうのも良いかと思ったんだ。
日頃の感謝とかそういうのをだな…。
うわっ本気で言ってるよ俺!

そんなのを期待する方がどうかしてる!


「もし、あたしが転んだらどうやって運んでくれる?」
「意識があるならおんぶ」
「意識があるならって何」
「前に酔っ払いの誰かさんを運んだときに頭から落ちられましてね」
「覚えてない」
「だろーな」
「意識あってもお姫様抱っこが良いー」
「やだ、お前わざとくっついてくるから」
「けちんぼ」


けちとかそーゆー問題じゃ無いだろ、多分。
誰にも会わないってんなら考えないでも無いけどな!
そんなのを期待する方がどうかしてる!

いやいやそれ違う、違うから!


「アル、あたし分かったわ」
「ウィンリィ?」
「エドはきっと奥手なのよ」
「は?」
「だから手を出して来ないんだわ」
「えーと…」
「ここはあたしが頑張らなきゃ!」
「…うん、頑張って」


弟よ、肩が震えてるように見えるのは気のせいか。
本を熟読するフリをして、精一杯シカトを決め込む。
いやいやそれ違う、違うから!

そんなところ、俺以外に見せるな!


「あたしもう寝るけど、エドはまだ寝ないの?」
「もうちょっと…オイ」
「ん?」
「…その格好」
「格好?」
「アルに会ったか?」
「ううん、アルは部屋に籠ってレポート書いてるから」
「お前、もう寝るの?」
「さっきからそう言ってるでしょ、何なのよ?」
「…なら、良い」


あらぬ線まで浮かぶ彼女に目を逸らす。
暑いからって薄着は止めろと散々言ってるよな?!
そんなところ、俺以外に見せるな!

クソ…!キスしてぇ!て言うかします!


「そろそろ禁欲生活、十月十日〜」
「…じゃかあしい」
「この時期に浮気する旦那さまって多いんだって」
「へー」
「エド、してない?」
「する暇あるかっての」
「暇あったらしてたの?」
「するかッ!!」
「エドはあたしにめろめろだもんねー」


頼むから、ほんっとーに頼むから、そういうことを言ってくれるな。
誤魔化し否定のしようが無ぇんだよ!
クソ…!キスしてぇ!て言うかします!



お題は此方から

嗚呼-argh



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