◆◇結婚のお題◇◆


01 できちゃった


「エドがお父さんだって、アル」
「自分が子どもみたいなのにね」
「…好き勝手言ってくれるじゃねぇか、お前ら」
「「ほんとのことだもんねー?」」


まだまだぺったんこのおなかを撫でて、
くすぐったそうに微笑う君。
小さな命、微かな鼓動。
全部、全部、愛おしい。

02 挨拶


「おはよう、おやすみ」
「ん?」
「1日の最初に言えて、最後に言えるのってすごい贅沢だなぁって」
「たまに、おやすみ言う前に寝るけどな」
「エドの所為でしょー」


戯れるようにしてシーツに潜った。
可笑しくなって笑い出す。
おはようとおやすみ、触れるだけのキス。

03 適齢期


「言われてみれば、そうだな」
「でしょ」
「うん、まぁ」
「ね?」
「…言いたいことも分かってるけどちょっと待て」
「十分待ったわよぅっ!!」


指折り数えてなんて甘過ぎる。
どれだけ待ったと思っているの?
とっくに実った恋心、あとは君の努力次第。

04 プロポーズ


「プロポーズのときくらいだったわよね」
「何が?」
「エドがカッコ良かったのって」
「酷ぇ!」
「嘘、全部」
「うん?」
「ぜーんぶ、大好き」


左の薬指に宿る白銀。
やっと訪れた約束の日。
刻が流れても色褪せない、ふたりだけの風景。

05 誓い


「エドの小父さまと小母さま、ここで結婚式したんだって」
「あー、昔聞いたことある」
「父さんが神父役」
「らしいな」
「エドは?」
「オレ?」
「誓ってくれないの?」
「気の利いた台詞、いきなり思い付かねぇよ」
「じゃあ、あたしのこと好き?」
「…う」
「好き?」
「………………あー、えー、と…」
「エド!」
「…すっ、好きだよッ!これで良いか!!」


嬉しそうに頷くな!
笑顔ひとつで帳消しかよ!
神サマじゃなくて、君だけに。
想いと未来をそっと、誓う。

06 希望と不安


「不安、とかある?」
「無いことは無い、かな」
「あるのかよ」
「エドがちゃーんと夫婦生活してくれるかなーって不安と、でも、してくれたら良いなーって希望」
「あっ、あからさまに言うなぁッッ!!!」


あ、逃げた。
そういうところは変わらなくても良いかもしれない。
希望と不安、君だからこそ抱く想い。

07 おばあちゃんになっても


「ずぅっと、一緒に居てね」
「今更?」
「今更、だけど改めてよろしくってことで」
「お前が殊勝なのは珍しくて槍が降りそうだ」
「スパナならいつでも降らせてあげるわ」


茶化しても、分かっててくれるって分かってる。
悔しいけれど、きっとずっと敵わない。
おばあちゃんになっても、こんな風に笑い合おう。

08 喧嘩した夜は


「…そんな端に寝てたら落ちるぞ」
「…エドには関係ないでしょ」
「今日冷えるから、離れられると寒い」
「あたし湯たんぽじゃないもん」
「んじゃ、寂しいから傍で寝て?」
「…………」
「ウィンリィさーん?」
「…ずるい」
「ずるくねぇよ、ほんとだもん」


それがずるいって言うのよ、莫迦。
絶対謝ってなんかやらないんだから。
喧嘩した夜は何気なく機嫌を窺う、君の頬を思いっきり抓り上げた。

09 あなたとなら


「ウィンリィ、風邪引くぞ」
「まだへーきっ」
「せめて上着羽織れ!」
「大丈夫だってば」
「お・ま・え・はッッ!!」
「きゃーっ」
「笑ってんな!お前ひとりの身体じゃ無いんだからな?!」
「分かってるわよぅ」


不貞腐れたふりをして頬をぷぅっと膨らませた。
恐いくらいに優しいんだもの。
あなたとなら、遠い未来まで笑っていられると信じてる。

10 いつまでも恋人気分


「えーどっ」
「な…っ?!」
「まだ照れるの?初々しいわ」
「…間違ってるだろ、ソレ」
「これくらいどうってこと無いじゃない」
「大アリだッ!!」
「キスよりすごいことたくさんしてるのにねぇ」


呟いた彼女の口を思いっきり塞いだ。
後ろで笑いを噛み殺している祖母と弟に未だ後ろめたくて、情けなくて。
いつまでも恋人気分に甘ったるい眩暈を覚えた。



お題は此方から

梅飴。



ブラウザの戻るでお戻り下さい