| 変わっていくあなたを追いかける |
| 知らない横顔 from.音羽 桜姫さま |
一緒だと思ってたのに 「休憩しよ…」 そろそろ切迫つまってきた 好きなことに集中すると時間を忘れるのは いいことなのか、そうじゃないのか そういうとこ、エドと似てる 「何か飲もうかな」 息抜きに 確か、紅茶があったはず そう思って、下に降りていく途中 何もない部屋で、本を読んでるエドを見つけた そうか 今帰って来てるんだよね 腕を直しに あたしが今取り掛かってるのは 他でもないエドのもの 何だろう 思わず足を止めてしまった それがどうしてなのかわからないけど 目が離せなかったの 真剣な顔して、何を見てるの? 急に心臓が鳴りだした だって、知らないんだもん そんなエドの顔 見えるのは横顔だけど、知らないんだもん 大人びたエドの横顔 あたしの知らないところで エドは大人になっていたの? 「何してんだ?」 見てたら、気づいたエドに呼ばれた 重なった視線に、心臓が大きくはねた 「何って別に?通りかかっただけよ」 「さっきから視線感じてたんだけど?」 「気のせいじゃない?それとも誰かいるとか?」 「ふーん」 その笑い方が、何となく意味ありげだったけど 気にしないことにした 「入ってもいい?」 「いいけど」 お許しをもらったから、遠慮なく入る 入ったからって、何かあるわけでも 何がどうってこともないけど さっきまであたしに向けられてた視線は いつまにかまた、本に戻されてた あたしはただじっと エドの様子を見てるだけ しばらくすると、エドはまたあたしを見た 「…何?」 「ん?見てるだけだよ」 「そうですか…」 「うん」 「気になるんですけど」 「だって見たいんだもん」 「あんまり見んな」 「何で?」 「見つめられるのが苦手なんだよ」 「けちー」 「そういう問題じゃないだろ!」 見ていたかったの きっと次にエドを見るときは あたしの知らない顔をするのよ 見るたびに違うんだから 全てを見て、覚えておきたいの 「じゃああとちょっとだけ」 「…」 「ね?お願い!」 「…」 「エド?ダメ?」 「ちょっとだけだからな!」 「やたー!」 押してみるもんね ちょっとしか見れないっていう期間が出来ちゃったけど 今のうちにしっかり覚えておこう 今度帰ってきた時は どんな表情になるのかな きっと今よりももっと大人っぽくなって あたしをおいていくんだ 変わらないなんて、そんなこと絶対にないもの 経験をして、一つずつ大人になっていくエドを 一番隣で見ていたかった 見つめるたびに、心臓の音が自分の耳に届くのは何で? このどきどきの意味が、今はまだわからないけれど 「エドはずるいよ」 「いきなりなんだよ」 一人で大人になってくんだよ、そうやって だって今のエドは、あたしの知らない横顔をしてたから 「一人で変わっちゃってさ」 「お前だって、変わってんじゃん」 「どこがー?」 「いろいろ」 「どこが変わったのか、言ってみなさいよー」 「言わすな!」 心なしか気のせいか エドの顔が赤いような気がした ああ、ほら またそうやって、知らない顔を見つけるの 「何よ、豆のくせに」 「ケンカ打ってんのか?」 「打ってませーん」 知らない横顔をするエド これからも一つずつ見つけていけるといいな 変わるものもあれば、変わらないものだってある 今流れる時間は、ずっと変わらない 知らない横顔と、知らない気持ちの名前 おいていかれないように、あたしもゆっくり歩いていこう エドにも気づいてほしい 見つけてほしい 知らないあたしのこと - fin - |
『幼なじみに贈る10のお題』/お題提供サイトさま⇔水影楓花 カンシャのきもち。 |
エドウィン企画サイト様へ投稿したイラストに、SS付けて頂きました! 音羽桜姫さま、ありがとうございます!! すっごいツボりました。 恋人未満みたいな雰囲気が好きです。思春期バンザイ。 本の内容なんて、絶対頭に入ってないぜヤツは! いつかくっついても、ずっと初々しいと良いよ! 姫さん、ありがとーございました!! |
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