・TOD・
「あーもう、全然乾かない」
「雨が降っているのに、勝手に出て行く方が悪い」
「何よ。相変わらず可愛く無いわね、リオン」
「ルーティさん、リオンさんだって心配して下さっているのですわ」
「だっ、誰が…!!」
「あらぁ、そうだったの?ごめんなさいね、気・付・か・ず・にっ!」
「おーい、皆!虹が出てるぞ!」
「まぁ」
「虹くらいで煩いわね、田舎者」
「でも、綺麗ですよ。ほら」
「ただの自然現象に一々喧しい奴らだ」
「綺麗なものを綺麗だと思えるのは大切なことなんだぞ?」
さも当然のようにして言い放つ。
美しいものも全て消え去ろうというこの世界で、一体何を想えと言うのだろう。
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・TOD2・
「リアラ、見て!」
「虹…?初めて見た!」
「ホント?」
「えぇ、綺麗ね」
「リアラと初めて会った時も、虹がかかったみたいだったよ」
「カイル…」
「…で、いつになったら私達がここにいることを思い出してもらえるのかしら」
「諦めろ、ハロルド」
「俺も彼女欲しいなぁ…」
「ロニ、寝言は寝て言うもんだよ」
君と見上げよう、虹のかかった空を。
虹を見る度に君を想おう、過去にある未来に。
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・TOE・
「リッド、リッドったら!」
「キールもはよはよぅ!」
「あー?何だよ、ファラ」
「メルディ。それを言うなら『早く』、だ」
「ほらほらこっちに来て!」
「だから何だよ」
「アレ!きらきら綺麗なっ」
「おぉ、久しぶりに見た」
「でしょ?私も」
「虹、か」
「…失くしたくないな」
「あぁ」
「皆、頑張ろうね」
「はいな」
晴れ渡った空に、一縷の望み。
大切なものを護りたいから、色付いていく全てを愛おしいと想う。
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・TOS・
「コレット!降りて来いよ!!」
「はーい、行っきまーす!」
「うわぁああっっ?!コレット、2階から飛び降りないでぇっ!!」
「あ、危ねぇ…っ」
「えへへ、ありがと、ロイド」
「もう、ロイドの言い方が悪いからだよ!」
「飛び降りるとは思わなかったんだよ!」
「でも、ロイドなら絶対受け止めてくれるって分かってたから」
「運動神経だけはあるからね」
「煩いぞ、ジーニアス」
「さ、早く行こっ」
「学校の屋根の上なら、きっと綺麗に見えるよ」
「虹の麓にはお宝が、ってか」
「夢があるようで無いこと言わないでよ、ロイド」
「れっつらごー!」
ひとつひとつの景色。
思い出が増えて行く度に、口に出来ない切なさが募る。
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・TOR・
「ヴェイグ、虹よ」
「あぁ」
「やっぱり同じだわ」
「何がだ、クレア?」
「ガジュマの目にも、ヒューマの目にも、同じように虹が見えるの」
「同じ、ように…」
「えぇ。私の目とヴェイグの目は色が違うのに、同じように映るのと一緒」
「…………」
「こういうのって、やっぱり大切だと思うわ」
「俺は…」
「ヴェイグ?」
「いや、何でもない」
同じ心、同じ情景。
違うのは、この目に君の姿が映らない世界。
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